B-50, 51 再び頭がおかしくなってきた, 無線機そして美味しい日本食

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1986年5月E日

再び頭がおかしくなってきた

孤独, 頭, おかしい

 再び頭がどこかしらオカしくなってきたような気がする。五月に入り、もう暑さもそれほどではなくなってきた。

 が、なぜかこのまま気が狂っていきそうな感じすらある。だんだん普通の人間から遠のいていっているのか、いやそれとも普通の人間になりつつあるのか。よくわからない。

 サウジアラビアに出張した友人が現地に単身赴任して4年目の人に会って、その人がいかに変わった人間であったかをおもしろおかしく話していたことを思い出す。

 それにパースで会った武道の先生やスズキ氏のことを思えば、外地での独り暮らしの恐ろしさが我が身を襲ってくる。現在のオレもあの人たちのようになるかならないかの、まさにボーダーライン上にいるのだろうか。

 日本では絶対に見れないウソみたいに青い空を見ても何も感じない。インド洋の水平線に沈むバカみたいに赤い夕陽を見ても何も思わない。オレのハートはいったいどうなっているんだろう。

 仕事は依然、綱渡りのような調子だが、いちおう順調に進んでいる。生活のペースを変える何かをし始めた方がいいのかもしれない。空手でも習ってみるのも一興か。

1986年5月F日

無線機そして美味しい日本食

おいしい, 食事

 最近、注文獲得の新兵器を使い始めた。それは外国航路を走る船なら必ず備え付けている簡易無線機を使って、沖で入港待ちしている船と無線連絡するという方法だ。

 ポートコントロールセンターや代理店が沖に停泊している船と連絡し合う時、あるいは船どうしが連絡し合う時、ふつう相手が50キロ圏内であればこれを使って交信し合うことができる。平たい地形のためこのピルバラでは約100キロ圏内まで大丈夫だそうだ。

 POAはこれを持っていないが、この無線機は使用料金が不要なため、よく知っている船がダンピアかポートウォルコットのどこかの岸壁に接岸していて、そこの通信長から許可がもらえれば、あたかも電話で話すがごとく手軽に沖待ちしている別の船と通話することができる。

 これは接岸時に乗船していく必要を省き、わざわざ夜中に出向いていくという煩雑さをもなくし、そして何よりもシーレーンを出し抜くことができるという大きなメリットを持っている。そしてここんところこれが大成功だ。

 今日配達に行ったジャパンラインの船も初めてダンピア・ポートウォルコットへやってきた船だったが、そんな風にして受注したものであった。

 それにしても、配達のあとに食べさせてもらったあの船の昼飯はうまかったなあ。白いソースをかけたハンバーグをメインに、なんともいえず味のよいポテトサラダ、それにタクアン。

 どちらかというと洋食っぽいメニューだったが、見事に日本人の口に合うようにアレンジされていて、オレは食べている間じゅう、ビタビタバタバタと舌鼓の打ちっぱなし。このままこの船と一緒に西ドイツのハンブルグまで連れていってもらおうか、と一瞬ながら大真剣に考えたほどであった。

 最近、ずうずうしくも司厨長に無理やりお願いしてメシを作ってもらったり、夜、仕事とは関係なしに船に遊びに行って、船員さんたちから酒やおつまみを御馳走になったりすることが多くなった。

 オーストラリア広しといえども、オレぐらいうまい日本食を食っている日本人はいないんじゃないか、という幸福感に浸らせてもらっている。ホント地獄にホトケとはこのことかもしれない。

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