1986年7月A日
韓国の人たちについて

韓国の人たちというのも少し変わった人たちだと思う。
歴史上、日本と古くからのつながりがあり、日本人とほとんど同じ容貌を持つにもかかわらず、彼らは彼ら固有の非常にユニークな文化を持っているようだ。
先に沈没した船の乗組員は全員カスばかりだったが、あのような人たちは極端な人たちだったかもしれない。正直言って、韓国船の人たちは他の国の船よりも感じのいい人はやはり少ないが、あの沈没船で得た韓国船に対する忌避感は少しずつ薄れてきた。
ただ、彼らがしゃべっているのを横で聞いていると、いつもお互い罵り合っているかのように思える。またたまに食べさせていただく食事は日本のそれときわめてよく似ているが、そのうちのいくつかはもうオニのようにカラい。
韓国船では上下関係がきわめて厳格に守られているようである。日本船が積み込みを手伝って下さる時は船長以下全員で手伝って下さるが、韓国船(フィリピン、オーストラリアなどの船も、この点では同じのようだが)からは船長、機関長はもちろん、航海士、機関士といったオフィサー(船での管理階級)たちは一切出てこない。
それに食事も日本船ではみんな一緒に同じ部屋で取り、そのあとの団らんも船長から甲板員まで差別なくみんな打ち解けた感じであるのに対し、韓国船ではオフィサーとその他の乗組員は別々の部屋で取り、団らんの時もそれぞれの身分に応じて集まっているようだ。
しかし驚くのは、彼らのうちのかなりの人が日本語を話すということである。年配の人が話すのは占領時のことから理解できる。だが、若い人たちが独学で学んでいるということを耳にして、彼らが英語をも合わせて学んでいるということを考え合わせると、その努力に対し、自然と頭が下がってくる。このあたり、やはり伸び盛りの国のパワーを感じざるをえない。
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