B-62 変化の兆し

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1986年7月E日

変化の兆し

アーノルド, 悩み

 今日アーノルドが、パースの本社が彼に転勤話を持ちかけている、ということを話してくれた。本社ではカラーサでの彼の努力を評価し、フリーマントル港にやってくる船に対する営業強化のため、彼を本社で必要としているということらしい。

 だが、彼はこのピルバラを気に入っているようで、どうもそれほど乗り気ではないらしい。それにここまで大きくしたカラーサの店を去ることに、後ろ髪を引かれるような思いを感じている様子で、

「ケン、友人として、おまえはその話をどういう風に考えるか、聞かせてくれ。」
と、オレに尋ねた。

 オレは以前から彼が、ジェフと仕事をやっていくことがいかに欲求不満に満ちたものとして感じているかをよく承知していたし、一生住むにはとうてい耐えがたいこの土地に、嫌悪感以上のものを感じていたため、

「パースで仕事をするようになればいいと思う。あなたが本社に行ってくれれば、オレたちももうここで、この商品がない、あの商品を送れ、などとバタバタする必要もなくなるだろう。それにもし勤め先を変わるつもりであれば、こんなところで探すよりも向こうでの方がはるかにいい条件のものが見つかるはずだ。オレもこの土地でやれることはやってきたという自負も持てるようになったし、誰かいい後任の人が見つかればこの土地を去るつもりでいる。」
と、現在の思いを素直に打ち明けた。

 そしてオレが、もしあなたが出ていったら、後任のマネージャーはいったい誰になるのか、もしレイがなるなら、オレは今まで注文をくれた船すべてに、もう注文してくれるな、と言って回る、ということを話すと、彼は、
「後任は、ポートヘッドランドのボブの下で働いているピーターが当たるように聞いている。」
と、答えた。

 ボブはこのピーターをよく働く男だと評していたし、少なくともレイよりかはましだろうし。アーノルドがもし転勤したとしても、あとはオレとピーターでなんとかやれるだろう。

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