C-09 オークランドへ戻る、ニュージーランドは豊かな国

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1986年9月E日

豊かさ

 南島最大の町クライストチャーチから東岸を列車で北上し、再びピクトンから船で北島のウェリントンへ。

 そしてウェリントンからオークランドまで列車での帰り路はものの見事に平和な道程だった。両側はほぼずっと牧場で、羊や牛が地面に首を垂れて餌をのんびり食べるシーンが延々と続く。

 オークランドで会ったドイツ人(国では金融マンとか言ってた)に言わせると、このニュージーランドは休養するには完璧で世界一かもしれない、とか言っていたが、実際そうかもしれない。

 この国をほんの二十日ばかりで駆け足で見て回ったわけだが、このニュージーランドという国は本来の意味で実に豊だという気がする。

 この国のいい面を列挙してみると。
+人が非常に穏やかで親切だ。
+日本と同じような国土(はっきりした四季、起伏ある国土、細長い島国)で自然が美しい。
+高度な社会保障制度
+地理的に戦争の危機からは程遠いこと。
などが挙げられる。

 人々は勤勉かつ堅実に働き、仕事以外の時間を家族や友人と分かち合う、飾り気のない極めてシンプルなライフスタイルを送っている。

 人々の生きる目標は、競争に勝つことでも、カネを貯めることでもなく、ただ自らをより成熟した個人に作り上げていく努力をすること、という感じがする。

 それだけこの国には社会全体に大きなゆとりが感じられる。モノに溢れる日本と比べると物質的に豊かとは言えないだろうが、人々の心は我々よりかはるかに豊かだと言い切れる。

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