D-12 シンガポールの派手なクリスマスイブ

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1986年12月E日

シンガポールのクリスマス

 クリスマス前から旧暦の正月(英語ではChinese new yearという)までの約2ヵ月間、このシンガポールが世界に誇るショッピングストリート、オーチャードロードはそのきらびやかな装いで、市民と旅行者の目を大いに楽しませる。

 ふだんでさえきわめて美しく豪華なプロムナードであるこの通りは、この間さらに装いをグレードアップ。文字どおり星の数ほどの七色の小粒電球が、通りの上空約10メートルを覆いつくさんばかりに散りばめられている。

 そして通りの両側に連なる巨大なホテルやショッピングセンターも負けじとその壁面を同じような七色の小粒電球で飾り立てる。この間オーチャードロードの夜は、まさにこの通り全体が豪華なイブニングドレスをまとったようだ。

 オレは旧暦の正月は見れなかったが、クリスマスと西洋正月(太陽暦の正月)をここシンガポールで過ごした。西洋正月は別にどうってことはなかったが、正直クリスマスイブの異常なまでのハデハデハデぶりには、いささかビックリさせられた。

 クリスマスイブの夜、オーチャードロードの両側の歩道は人で埋め尽くされた。そしてこの夜気がついたのだが、シンガポールの中国人の特徴として、彼らがやたらと明るいということ。

 オーストラリアで会った中国人たちは笑っている顔というのをほとんど人に見せなかったが、この町では中国人の人々の顔が実に朗らかだ。もちろん人口の7割が中国系の人々が占めているわけだから、リラックスもできてあたりまえだと思われるが、同じ中国人にもいろいろいるもんだと思わざるをえない。

 通りに繰り出した人々はほとんどが十代、二十代の若者だが、知らない者同士でもふざけ合い、大声で冗談を言いながら歩いている。

 オレは日本から来たサトー君という学生と一緒に歩いていたが、いきなり中国語で声をかけてくるやつがいる。オレたちは日本人だと英語で言うと、微笑みながら大声で「Merry Christmas!」と返してくる。なかには「コンニチハ!」とか、「サヨナラ!」とか、「アリガトウ!」とか、知ってる日本語すべてを使って声をかけてくるやつもいる。

 ここシンガポールへ来て感じることだが、自分が想像するより日本のことを地元の皆さんはよく知っていて、第二次大戦時のことは多少意識しているにせよ、少なくともいまの日本をかなり肯定的に見てくれているということ。

 ホステルのスタッフはもちろん街角でこちらが日本人だとわかると、相手の表情が明るくなることが多い。そしてその逆はほぼ経験がない。その意味ではシンガポールで過ごした時間は暖かいものだった。

 広場でのライブコンサートなども催されていて、この夜オーチャードロードは「Silent night, holy night」の雰囲気まったくゼロで燃えていた。シンガポールへ旅行するなら、この時期を選ぶのは十分に一考に値するといえる。

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