C-15 アーニャから手紙, オーストラリアを去る

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1986年10月D日

出国, さよなら

 この日アデレードに戻ったアーニャから手紙が届いた。11月13日にバンコクのインターホテルに到着予定、その時点でオレがバンコクに来れたらそこへ連絡してほしいとの内容だった。

 出国をいつにしようか迷っていたが、いよいよオレもシドニーを、オーストラリアを去るときが来たようだ。

 新聞広告を見ると、ヨーロッパまでの片道切符はシンガポール、クアラルンプール、バンコクとか経由で約650ドルから手に入る。あちこちトラベルエージェントに電話してみると、マレーシア航空のシドニー発クアラルンプール経由ロンドン行きの切符が一番良いようだ。

 マレーシアは先ごろオーストラリア人の麻薬密輸人二人を絞首刑にしたことから、オーストラリア人に反感をかって航空会社までもがそのとばっちりを食らって、チケット相場が落ちているようだ。価格がなんと640ドル(6万5千円)とは、日本の基準から考えるとバカ安のバカ安である。

 シドニー発クアラルンプール行きの日取りは11月9日と決まった。

 結局、免税店には1ヵ月ほど働いただけとなってしまい、大きな迷惑をかけることになるが、日本人だらけの中で簡単な仕事を続けてもほぼ意味がない。

 明日にでもマネージャー、この職を紹介してくださったD海運会社の代表にもその旨を伝えねばならない。

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