1987年3月E日

イスラエルを語る時、戦争というものを抜きにはできない。エジプトとの戦争時(現在、エジプトはアラブの国の中で唯一イスラエルと国交を結んでいる国である)、イスラエルはこの南部イスラエルのネゲフ地域に空軍基地を数多く作ったらしく、この1987年の3月、依然として他のアラブ諸国と準戦時下にあるこの国ではジェット戦闘機がこのモシャーフの上空を飛ばない日はない。
ほとんどすべての戦闘機は数機の編隊を組んで、東からスデ・ニツァン上空を通過、数十キロ西にあるエジプト国境めがけて飛んでいく訓練を行なっている。上空わずか2、3百メートルを飛んでいく戦闘機の爆音に会話が遮られるなんてこともまったくの日常茶飯事である。
そしてジェット戦闘機が超音速で飛んだ時に起こるあの衝撃波には何回経験してもなじめない。
ある物体がマッハ1を越えるスピード(音の速さ以上のスピード)で飛んだ時、その周辺の空気に強力な衝撃波が伝わるという現象が起きる。ハウスの中で作業をしている時には、突然ハウスのガラス全部がドスーンという大音響とともにブルブルブルッと大きな音をたてて震える始める。
最初のころは、すわ!これはいったい何事か!?とあわててハウスの外へ飛んで出たものだった。それはまるで弱い地震でも起きたのかと思わせるほどの迫力である。
超音速ジェット戦闘機はその衝撃波の影響の大きさから上空はるか高くを飛ぶため、そのエンジン音は聞こえないが、衝撃波は地上まで届き、その大音響とそれに伴うガラスの激しい振動音は慣れない者の心臓に少なからずショックを与えずにはおかない。
中東紛争の中心、イスラエル。北をレバノン、東にシリアとヨルダン、南にエジプトと完全にアラブに包囲されているこの国から、あの絶望的な爆音が聞こえなくなる日というのは果たして来るんだろうか。
少なくともオレには、実際このエジプト国境近く、かつての死闘の「晴れ舞台」の地に住んでいて、その兆しは依然まったく見えないと思うのだが・・・・・。
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