1987年3月F日

今日は29回目の誕生日。
とうとう30歳に王手がかかってしまった。これで3年連続で誕生日を外地で迎えたことになる。
いざ王手がかかると心の中の一人のオレが、
「おい、そろそろ帰り時じゃないのか?」
と呼び掛けてきた。日本で職を見つけるには、20代と30代とでは採用側の印象がだいぶん違うんではないか、今すぐ帰った方がよいのでは、とのプレッシャーは確かにある。
しかし、カラーサでひとまずそれまでの過去を清算し、そこで新たに沸き上がった「未知のものに対する好奇心」は理屈を越えて消すに消しようもなく大きくなってしまっている。
東南アジアでは貧困というもの、犯罪というもの、共産国家というもの、多民族国家というもの、それらが具体的にいかなるものか、そしてそれらがいかなる結び付きをしているのかなど、日本やオーストラリアのような豊かな国にいただけでは絶対に学べないことを、ものすごい物量で学んだ。だが、オレはこのヨーロッパ・中東にやってきて、いったい何をしたのか。
今のオレには西洋文明のルーツを見たいというヨーロッパへやってきた第一義の目的に加え、いま不思議な因果のもとにいることになったこのイスラエルというパレスチナの地と人々とを自分の目と耳で感じたいという、いわば副次的に派生した目的をも果たしたいとのCheapだが熱い思いがある。
やはり今はまだ帰る時ではない。自分はこのヨーロッパ・中東に来て、まだ何もしていないし得ていない・・・・。
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