G-08 バーで荒れるイギリス人

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1987年4月B日

バー, 集まり

 火曜日と金曜日の夜、モシャーフ内でボランティアの手によってイスラエル名物の爆弾シェルター(避難壕)の中でバーが開かれる。特に金曜の夜は次の日が休みとあって(イスラエルではユダヤ教の教えによって土曜日が安息日である。ちなみにイスラム教徒は金曜日を安息日としている)、みんな大騒ぎとなる。決して体力的に楽ではない仕事を6日間やり通して、週に一度のこの夜だけはボランティアたちはみんな自分自身をそれっと開放しようとする。

 爆弾シェルターはいろんなタイプがあるが、スデ・ニツァンの爆弾シェルターはただブロックをタテに重ねて作られた簡易なものだ。ようするにブロック製の小屋という感じ。よそにあるという地下へ階段を下って入っていくというようなものではない。

 こんなんで大きめの威力の爆弾から身が守れるんかなな?と心配になるくらいだ。まあここが本来の目的(爆撃から身を守る)でなく、ただ酒を飲むということにだけ使われていることは喜ぶべきなのだろう。

 シェルターの内側は30畳ぐらいの広さ。片隅にバーカウンターがあって、壁の回りに椅子が並べてあり、真ん中がダンスフロアにとってある。造りはいたってシンプル。雰囲気は大学祭に出されるアングラ喫茶のそれである。

 バーは夜9時ぐらいから少しづつにぎやかになり、夜12時を過ぎたころにアルコールがみんなに回って最高潮に達していく。

 アイルランド人のバーマン、ジョンは音楽のセンスがなかなかいい。宵の口には70年代初頭のガンガンのヘビーメタルもので客の神経を少しずつ高ぶらせていき、人が集まり、みんなが踊り始めたところで最近のヒット曲を流し、真夜中を過ぎたころからはボリュームをいっぱいに上げて、誰もが知っている50年代、60年代のシンプルなロックンロールで、みんな大騒ぎの憂き世忘れの大ダンスパーティへと客を導いていく。

 イギリス、オーストラリア、南アフリカといった世界に名だたるヨッパライの名産国は、その名に恥じない見事なヨッパライたちをこのスデ・ニツァンにも送り込んだようだ。イギリスの男などは、英国紳士などという言葉はいまや死語なんだ、と言わんばかりの荒れ放題。絶対数が多いということもあるが、バーの中で何かゴタゴタが起こったと思ったら、そこには必ずイギリスのやつがいる。

 ダンスフロアの真ん中でパンツを下ろし、ケツを見せて回るやつ。人の頭にビールをかけて回るやつ。ヘベレケになって床にカエルのようにのびてしまうやつ。誰かれかまわずケンカを始めるやつ。

 イギリスという国には、アルコールを体内に摂取した人間は何をやろうとも許す、という法律があるんだと思われる。

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