G-13 花の香りと戦闘機

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1987年4月G日

花, モシャーフ

 現在、このモシャーフ、スデ・ニツァンのあるネゲフ地区は、1年のうちでもっとも良い季節なのだそうだ。

 このあたりの気候は砂漠気候に近く、朝夕はかなり冷え込むものの、日中は相当の高温となる。しかし、湿度はいたって低く、初春のオーストラリアからハエを追い払った心地よい気候といえそうだ。

 砂漠の真っ只中にありながら、ありがたいことにモシャーフ内には緑が多い。温かいところに育つ花が多く、赤、黄、ピンク、紫と色とりどり、実に鮮やかだ。

 花というやつは、午前中のある一時期にその香りを最も強く放つんだろうか。われわれマイロンとボランティアのチームはいつも午前9時半ごろから10時ごろにコーヒーブレイクを取ることになっているが、この時間帯に木陰にぼんやりと座っていると、どこからか知らないがこのうえなくいい花の香りがそよ風に乗ってきて、オレたちの鼻をくすぐる。

 思わずそれを大きく吸い込んで、雲ひとつない青空を見上げる。その一瞬、この国はなんと平和で素晴らしい国なんだろうかと思う。

 しかし、その感傷は次の瞬間あまりにも脆く崩れ散っていく。というのは、昨日も今日も明日もあさっても、そのまた次の日もそしてそのまた次の日も、ゼッタイに絶えることなく飛んでくるジェット戦闘機が、その青空に真っ直な白雲の落書きを残していく様を自然と思い出し、すぐに現実に戻されてしまうからである。

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