G-11 さて、これからどうする・・・

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1987年4月E日

おカネ

 これからのことを考えている。
 ヨーロッパの国々を旅行するには一日最低でも25米ドルから30米ドルかかる。安全側をとって一日30米ドルとすると、1ヶ月の旅行で900米ドル、2ヶ月で1,800米ドル。かなり大きな数字である。

 そしてもしヨーロッパから直接日本へ帰るとすれば方法は2つ。飛行機で帰るか、シベリア鉄道で帰るか。

 飛行機のチケットはロンドンまたはアムステルダムから大阪までで、600米ドルあれば手に入るだろう。

 シベリア鉄道のチケットはハンガリーで切符を買えばモスクワ-北京間が100米ドル(!)という噂がまことしやかに流れているが、正規の運賃はモスクワ-北京間で350米ドルぐらいだとの話。

 だが、シベリア鉄道はヨーロッパからの東行きのチケットは最低6ヶ月前からの予約が必要とかで、やはり万が一のため600米ドルの飛行機チケット費用は必要と考えておくのが現実的だ。

 となると、もしヨーロッパを2ヶ月間旅行して飛行機で帰国するとなると約2,400米ドルが必要ということになる。イスラエルのモシャーフでの労働だけでそれだけ貯めるには、おそらく最低1年半はかかるだろう。

 ノルウェーで仮に一日70米ドルで60日労働すると4,200米ドルになる。そこから現地での生活費などを差し引いてもまだ2,400米ドル以上は残るであろう。つまりノルウェーの魚工場で3ヵ月ほど働くことができればヨーロッパ2ヵ月の旅は可能になるということだ。

 これまでのところ、このモシャーフの生活もそう悪くはないが、とてもじゃないがここで1年以上も暮らすという気にはとうていならない。やはり最も手っ取り早くカネを手に入れられそうなノルウェーの魚工場への応募がうまくいってくれと願わずにはいられない。

 それにもうひとつその工場に魅かれるのはその位置だ。ファーマーのマイロンから借りた大きな世界地図でその漁村を見つけたが、そこはなんとジェリーの言う通りホントに北の端の端の端にあった。

 スカンジナビア半島の最北端にNorth Capeという岬があって、村はその少し東にある。そして地図をよく見ると、その村はイスタンブールとほぼ同じ経度上にあって、アラスカの最北端よりもさらに高い緯度に位置し、当然のごとく北極圏の真っ只中にある。

 カラーサや東南アジアでこれまでさんざんバカ暑いところは経験してきたが、バカ寒いというところにも行ってみたいという好奇心がここきてやたらメラメラと沸き上がってきた。

 夏は白夜、冬は氷点下数十度にもなろうそんな町に住んでみたいという気持ちが、すでに世界の20ヶ国近くを見てきた自分にごく自然に沸き上がってきた。

 ノルウェー。
 今まで首都オスロ、フィヨルドというだけの知識しか持ち合わせなかった国だが、ジェリーの話を聞いて以来この国が急速に身近な国としてオレの心に寄り添ってきた。

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