G-24, 25 ジムはドロボーしてトンズラ, 日本より豊かな国イスラエル

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1987年5月F日

ジムはドロボーしてトンズラ

ジム, ドロボー, 泥棒

 1号室のジムが今日出ていった。そしてなんとやつはルームメイトのディヴィッドとアンディとビリー(ジョンとピーターのあとに1号室に来た奴ら)というイギリス人たちの持ち物をドロボーしていきやがった。どうも一緒に出ていったロンドン出身のトニーとの共犯らしい。

 100ポンドの現金、ラジカセ、ドライヤー、腕時計などに加え、オレが貸してやった目覚まし時計まで持っていきやがって。あれがないと起きれない、とやつが懇願したため貸してやったのに、トンデモない野郎だ。

 聞くところでは、ゆうべ二人ともビールとハッシ(マリワナと並んで人気のある軽い麻薬の一種。ヨーロッパではマリワナよりもハッシの方が人気あるようだ。)で、完全にオツムがトンでいたらしく、おそらくけさになってもそれが抜けきらず、自分でも何をしているかわからぬままそういう行動に出てしまったのだろう。

 このスデ・ニツァンでは過去にもいろいろとボランティアの「活躍」はあったという。

*女の奪い合いになって、自分のキューブの窓ガラスを全部割ってしまったイギリス人。
*冬の夜たき火をしていてくべるものがなくなり、ファーマーから借りたモーターバイク(!)をくべたイギリス人(ちなみにイスラエルでは自動車、バイクには100%の関税がかかり、市場価格は驚異的に高い。小さな50ccのバイクでも最低1000米ドルはするという)。
*バーマンをしていたボランティアの部屋に乱入し、バーマンを殴りとばして部屋に置いてあった現金とビール箱全部を強盗した南アフリカ人5人組。

 そんな大バカ野郎たちと比べて、ジムとトニーがやったことなどまるでカワイイものだといえなくもない。が、やはりものを盗まれるというのはあまり気分のよいものでは決してない。

 被害者のディヴィッドら3人は荷物をまとめてドロボーの二人が行く予定のテルアビブまで追いかけていったが、このBest people in the world と自称したがる大英帝国の内紛はさあてどうなることやら。

 ホント、つくづくオレには大英帝国の日の入がもう近いという気がしてならない。

1987年5月G日

日本より豊かな国イスラエル

プール

 待ちに待ったプールがオープンした。ここ数日の最高気温は33度を超えている。いよいよこのネゲフ砂漠の本格的な夏がやってきた。

 プールサイドの芝生の上でボーっと寝そべっていると、このイスラエルという国が日本と比べてある意味ではるかに豊かだなという気がしてくる。身の回りに何の資料もないため、この国の経済的な数字パフォーマンスはよくわからない。日本や世界の新聞の経済欄にそれほど頻繁に登場してこないというのは、世界的にそれほど目立たない程度ということなのだろう。

 しかし、25メートルの競泳用プールと子供用のプールと、それらを取り囲む約2千平方メートルの青々とした緑を目の前にして、こんなプールがイスラエル中のすべてのモシャーフやキブツに備わっているということを聞かされれば、ウムムとうならざるをえない。

 日本と比べて夏が約2倍長いこのイスラエルでは、プールというものが生活に欠かせないものなのだという事情はある。だが、このプールに代表されるように、みんなのために公共的な施設を設けることに力を入れるという姿勢は、このイスラエルという小さな国の大きな特徴のようだ。このあたり、イスラエルが世界で最も民主的な国のひとつだと言われるゆえんなのだろう。

 実際のところ、恒久的戦時体制にあるこのイスラエルにあって、それはごく自然に身についた種保存の術というべきかもしれない。

 世界に冠たる経済大国となり、個人もある程度の所得を手に入れながら、市民の誰もが簡単に使えるような公共施設整備の未整備具合をいまだ放置したままのかの祖国にとって、この国の人々のあり方は多分に示唆に富むといえはしないんだろうか。

 このイスラエルといい、シンガポールといい、小国でメディアに取り上げられる機会の少ない国でも、日本以上の豊かさを享受している国は世界中あちこちにあるのかもしれない。

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